契約最終年に妊娠すると、同条件で1年延長 ACミランが埋めた「休暇後」の空白
女子サッカーで妊娠・出産の休暇が制度化されても、契約そのものが切れれば復帰する場所はなくなる。イタリア北部ミラノのACミランは2024年8月、その空白に手を入れた。契約最終年に妊娠した選手には、同じ経済条件で1年を自動延長する。休む権利の次に、戻る先をどう残すかという話だ。
14週間の休暇は、2021年に国際ルールになった
FIFAは2020年11月、女子選手に最低14週間の出産休暇を設け、少なくとも契約給与の3分の2を支払う規則案を示した。翌2021年1月に施行された。2024年6月には14週間の保護を指導者にも広げ、養子を迎えた人や実母ではない親の家族休暇も加えた。登録期間外でも代替選手や復帰選手を登録できる。休暇と復帰を守る国際的な最低線は、段階を踏んで広がった。
ミランが足したのは「次の1年」
ACミランは2024年8月、妊娠が始まったシーズンに契約が切れる選手を、同じ経済条件で1年間自動延長すると発表した。クラブは欧州の有力クラブで初の方針だと説明している。FIFAの規則は、休暇中の給与や復帰を守る。ミランの上乗せは、契約満了後にも所属先を残す。14週間と1年は、同じ保護の長さを言い換えた数字ではない。
子どもの移動費も、仕事の条件にした
支援は契約だけではない。練習や試合などの活動中の保育を助ける。出産した選手、または子どもの唯一の保護者である選手には、子どもと付き添い1人の航空券、宿泊、その他の移動費も支える。遠征が仕事の一部なら、子どもを帯同できるかは試合に参加できるかにも関わる。クラブは育児を私生活だけの問題に置かなかった。
トップと育成の選手が、制度づくりに入った
クラブは女子トップチームとプリマヴェーラの選手に、面談や聞き取り、アンケートを行って方針を組んだ。プリマヴェーラはイタリアの育成年代チームを指す。背景に挙げたのが、国際選手会FIFPROによる2017年の調査だ。4大陸の3295人が答え、子どもがいたのは2%、家族を持つために競技を早く離れる可能性があるとした人は47%だった。現在の比率を示す数字ではないが、選手が制度づくりへ入った理由は伝わる。
