大豆とプラントミートの構想から、野菜と電気へ 水戸ホーリーホックが農事業を広げた順序
水戸ホーリーホックは2025年6月、茨城県城里町の耕作放棄地約2000平方メートルで営農型太陽光発電を始めた。年間発電量は10万kWhの見込みだ。電気は町内の二つの物産施設へ送る。始まりは2021年の農事業だった。大豆とプラントミートの構想は、そのまま実現したわけではない。土地と作物、電気の使い先を一つずつ組み替えてきた。
にんにく畑には、クラブ職員とサポーターが集まった
水戸ホーリーホックは、茨城県央・県北をホームタウンとするJクラブだ。農家の高齢化や後継者不足で増える耕作放棄地を課題に挙げ、2021年に「GRASS ROOTS FARM」を始めた。にんにくや玉ねぎなどを育て、作業にはクラブ職員だけでなく、サポーターや地域住民も加わった。地域の福祉施設と加工し、販売までつなぐ。生産、加工、販売を一つの流れにする「6次産業化」を目指した農事業だった。
大豆とプラントミートの案が、太陽光へつながった
次に考えたのが、大豆を育て、植物由来の代替肉へ加工し、畑の上では発電もする計画だった。Jリーグの対談で、クラブ担当者はこの順序を説明している。ただし、2025年6月の稼働時に畑へまいたのは土づくり用のヒマワリだ。その後はナスやニンジンを予定し、大豆は将来の目標として残った。題材になった構想と、実際に始めた栽培を分けておきたい。
元の畑を使えず、地権者の同意からやり直した
太陽光設備には初期費用がかかる。Jリーグの補助制度ができて計画は動いたが、農事業で使っていた畑には設備を置けなかった。クラブは城里町の耕作放棄地バンクから別の土地を探した。所有者だけでなく、隣接する農地の所有者や耕作者にも同意を得る必要があった。担当者によると、この調整に最も時間を要した。
10万kWhは実績ではなく、年間の見込み
発電所の所有者は水戸ホーリーホックだ。電力事業者UPDATERの発表では、城里町磯野の約2000平方メートルを使い、年間10万kWhの発電を見込む。10万kWhは稼働後の実績ではない。天候や設備の稼働で変わる計画値なので、成果を示す数字としては扱わない。
練習場では使えず、二つの物産施設へ分けた
当初は城里町内の練習拠点「アツマーレ」で使う案だった。しかし、発電量と施設の消費量が合わず、町有施設の電力入札も壁になった。町の提案で、昼間に電気を使う「道の駅かつら」と「物産センター山桜」へ供給先を変更した。道の駅かつらには2025年6月30日、山桜には7月2日に供給を始めた。不足分はUPDATERが補う。クラブの農事業は、作物を増やすだけでなく、土地の確保と電気の使い先まで調整する仕事へ広がった。
