地場産業を競技場名にした ヴィラレアル「セラミカ」は陶磁器会社の共同ショールーム
スペイン東部カステリョン県の小都市ビラ=レアルには、陶磁器産業とサッカークラブを同じ名で見せる競技場がある。ヴィラレアルCFは2017年1月8日、約92年続いた「エル・マドリガル」を「エスタディオ・デ・ラ・セラミカ」に変えた。単独企業の命名権ではない。複数の地元企業が参加する仕組みだった。
会社名ではなく、産業名を掲げた
「セラミカ」はスペイン語で陶磁器を指す。クラブは新名称を、カステリョン県を代表する製品の大きな展示窓口と位置づけた。競技場は1923年6月17日に開場し、2年後から地区名のエル・マドリガルで呼ばれた。2017年の改称は、一社の名前ではなく、地域の産業を前面へ出す選択だった。
15社は、2020年時点の参加企業
クラブが2020年5月30日に掲載した資料は、主要スポンサー5社、公式スポンサー4社、公式パートナー6社を列挙する。計15社はいずれも陶磁器や関連素材の企業だ。参加企業は競技場内にそれぞれのブランドを出し、クラブは新しい収益源を得る。名称は共同看板、広告枠は各社の看板という二層の仕組みだった。15社は現在の数ではなく、この資料が示す当時の内訳だ。
外壁そのものも製品展示になった
主要企業Pamesaの2017年資料によると、南スタンドの外壁には黄色の磁器質タイル約2000平方メートルが使われた。周辺広場の舗装にも陶磁器素材を用いた。広告で「陶磁器」と書くだけではない。競技場の表面そのものを、地域企業がつくる製品の見本にした。名前と建材を同じ方向へそろえたのである。
5000万ユーロの改修でも、名前と地元施工会社を残した
大改修は2022年5月16日に始まり、約7カ月半後の12月31日に試合利用を再開した。工事は2023年第1四半期まで続き、費用は約5000万ユーロ。全客席を覆う屋根、角を閉じる新スタンド、二つの大型画面、施設で使う電気を生む太陽光パネルなどを整えた。設計と技術はIDOM、工事管理は地元企業Alvibenが担った。建物を変えても「セラミカ」の名は残り、地域産業を見せる役割も引き継がれた。
