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サッカーファンの「不安」を顔にした パーティック・シッスルで10年続くキングスリー

スコットランド最大都市グラスゴーのクラブ、パーティック・シッスルには、約2.1メートルの黄色いマスコットがいる。名前はキングスリー。2015年の登場時には「恐ろしい」「ひどい」と評されたが、2025年には10歳の誕生日がホーム開幕戦の企画になった。

スポンサーの太陽を、現代美術家へ任せた

誕生のきっかけは、米カリフォルニア州の投資会社キングスフォード・キャピタルとのスポンサー契約だった。同社のマイク・ウィルキンスは美術を好み、グラスゴーを拠点とする現代美術家デイヴィッド・シュリグリーにデザインを依頼した。もとの題材はスポンサー企業の太陽形ロゴ。子ども向けキャラクターの企画ではなく、企業のマークを美術家がクラブ用に描き直す仕事から始まった。

作者が表したのは、勝利の笑顔ではなく「ファンの不安」

シュリグリーは2013年、英国の主要な現代美術賞であるターナー賞の候補になった。本人はキングスリーについて、サッカーファンでいることの不安や苦しさを表したと説明している。眉を寄せた顔は、いつも明るく応援する一般的なマスコット像とは違う。パーティック・シッスルは、セルティックとレンジャーズという二大クラブが同居するグラスゴーで活動する。その立場も作者の発想に入っていた。

7フィートの黄色い姿を、クラブは「誤解されている」と紹介した

キングスリーの身長は7フィート、約2.1メートル。登場直後には「恐ろしい」「ひどい」などの反応が集まった。クラブは1周年の記事でも悪評を隠さず、公式紹介では、怒って見えるが親しみやすく、少し誤解されているという人物像を与えた。批判に合わせて姿を変えたのではなく、怖がられた事実まで公式設定へ取り込んだ。

慈善行事から下院動議、そして10周年のホーム開幕戦へ

最初の1年で、キングスリーは慈善行事、マスコット競走、試合前のウォームアップへ参加した。2016年には、クラブ創設140周年を祝う英国下院の動議が「特徴的なマスコットの人気」に触れた。動議は法律ではないが、公的な議会記録に名前が残った。2025年8月9日のホーム開幕戦では「キングスリー・デー」が組まれ、試合前の食事や交流を含む企画の主役になった。スポンサー契約から生まれた顔が、10年後には試合日の予定そのものへ入っている。

参考記事Partick Thistle — KingsleyPartick Thistle — Kingsley's first birthdayPartick Thistle — Kingsley Day in 2025The Guardian — David Shrigley explains KingsleyUK Parliament — 2016 early-day motion