128

指名される側をやめた NWSLがドラフトを廃止し、選手にクラブ選択権を渡した

NWSL(ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)は米国の女子プロリーグだ。2024年8月、選手をクラブへ割り当てるドラフトの廃止を決めた。新人も、契約を終えた選手も、次の職場を自分で選べる。米国スポーツで戦力均衡の道具になってきた仕組みを手放した理由は、選手の権利だけではない。世界中のクラブと人材を奪い合うリーグの事情もあった。

ドラフトが決めたのは、順位より先に生活の場所だった

従来の新人ドラフトでは、クラブが順番に大学選手との交渉権を得た。NWSL選手会会長のトリ・ハスターは、自身が複数のドラフトを経験し、家族の近くで暮らせるか、出場機会があるかも分からない不安があったと話している。本人が都市や指導環境を比べる前に、指名する側が入口を決めていた。

満了の2年前に、2030年までの条件を決めた

リーグとNWSL選手会は2024年8月22日、2030年まで有効な新しい団体労働協約を発表した。従来協約の満了は2026年の予定だったため、約2年前の更新になる。交渉は2023年9月から2024年7月まで続いた。各国の女子クラブが同じ選手を獲得する市場で、NWSLは労使の基本条件を6年先まで置いた。

新人だけでなく、契約満了後の選手も自分で交渉する

新協約は新人ドラフトと拡張ドラフトを廃止し、海外選手らの交渉権を一クラブに留めるディスカバリー制度もなくした。現契約が満了すれば、勤続年数に関係なく全選手がフリーエージェントになる。本人の同意がないトレードを禁じ、契約も原則として期間満了まで保証した。選手が比べられるのはクラブ名だけではない。監督、医療、出場機会、家族との距離も選択肢に入る。

最低年俸と健康管理も、同じ協約で引き上げた

最低年俸は2025年の4万8500ドルから2030年の8万2500ドルへ上がる。5年間で底が3万4000ドル上がる計画だ。クラブごとの給与総額上限も330万ドルから510万ドルへ広がり、メディア権料やスポンサー収入の一部を加える。各クラブに必要な医療・健康スタッフは6人から10人へ増え、育児や不妊治療への支援も拡充された。ドラフト廃止は単独の制度変更ではなく、クラブを「選ばれる職場」にする交渉の一部だった。

参考記事NWSLPA — new CBA and elimination of the draftNWSL — 2024 collective bargaining agreementNWSLPA — 2024–2030 CBA resourcesThe Guardian — why the league agreed earlyTIME — players' experience of the draft