学校とトップチームを一本につないだ ガーナの育成組織がデンマークのクラブを買った理由
普通はプロクラブがアカデミーを持つ。ライト・トゥ・ドリームは順序が逆だった。西アフリカのガーナで始まった寄宿型の育成組織が、2015年末にデンマーク1部FCノアシェランを買収した。移籍先を一つ増やしただけではない。プロ契約と学校進学を、同じ育成の先に置くためだった。
11歳から18歳まで、練習と授業を同じ敷地で行う
ライト・トゥ・ドリームの開始年は、運営側の現行資料でも一致しない。ガーナ・アカデミーの公式ページは1990年、親会社マンソール・グループの事業紹介は1999年としているため、両方を示す。現在のガーナ・アカデミーは、首都アクラから北東にあるオールド・アクラデに2010年から置かれている。公式説明では定員は40人から100人超へ拡大し、対象はおおむね11歳から18歳。練習だけでなく、学校教育と人格形成を同じ敷地で行う。100人超が暮らしながら学ぶ、寄宿学校の規模である。
「プロになれなければ失敗」にしない
育成年代では、トップ選手になれる人数は限られる。ライト・トゥ・ドリームは、競技と教育を同格に扱うと説明している。卒業後にはプロクラブだけでなく、米国や英国の寄宿学校・大学へ奨学金で進む国際進学経路がある。英紙ガーディアンも、競技成果と教育成果を二本立てで追う点を特徴として挙げた。サッカーを教育の代わりにするのではなく、サッカーを入口に教育の選択肢を増やす考え方だ。
なぜデンマークのクラブを持つ必要があったのか
FCノアシェランは、コペンハーゲンの北にあるファルムを本拠とするデンマークのプロクラブだ。ライト・トゥ・ドリームの経営陣は2015年末にクラブを買収し、翌年から育成網へ組み込んだ。ガーナで育った選手は、方針の異なる移籍先へ突然渡るのではなく、同じネットワークの中で欧州のプロ契約を目指せる。FCノアシェラン側も、トップチームの補強と学校教育を一続きの進路として扱える。
女子の経路は、男子の後付けではなかった
ガーナでは2013年5月、女子の全寮制アカデミーが始まった。アルスター大学の研究は、アフリカ初の女子向け全寮制サッカーアカデミーと位置づけている。デンマークでは2017年にFCノアシェランの女子アカデミーとトップチームが始動した。女子チームは2020年に国内カップを制し、2023-24シーズンにはリーグとカップの二冠を取った。男子の経路を掲げるだけでなく、女子にも育成年代からトップまでの所属先をつくった。
奨学金120人超、プロ選手150人超
親会社マンソール・グループは、米国や英国の学校・大学へ奨学金で進んだ選手が120人を超え、プロ選手になった卒業生は150人を超えるとしている。前者は競技以外の進路を実際に使った人数、後者はトップ競技へ進んだ人数だ。ただし、卒業生全体の人数や同じ年代ごとの内訳は示されていないため、進学率やプロ契約率には置き換えられない。二つの数字が示すのは、進学とプロ契約のどちらも例外扱いせず、制度の中に残してきたことだ。
