138

スタンフォード・ブリッジの敷地と「チェルシーFC」の名を、ファン会社が持つ理由

ロンドン西部フラム地区にあるスタンフォード・ブリッジでは、チェルシーFCを運営する会社と、競技場の敷地を持つ会社が別になっている。敷地の自由保有権と「チェルシー・フットボール・クラブ」の名称を持つのは、ファンが株主のチェルシー・ピッチ・オーナーズ(CPO)だ。日々の運営から離れた場所に、移転をめぐる大きな判断を残している。

CPOはクラブを経営せず、敷地と名前を持つ

CPOは1993年3月11日に設立された公開有限会社だ。完全子会社チェルシー・スタジアム社を通じて、現在の競技場が立つ敷地の自由保有権を持つ。さらに「チェルシー・フットボール・クラブ」という名称も保有する。一方、チーム編成や試合運営、競技場の日常業務を担うのはクラブ側だ。ファン会社がクラブそのものを経営しているわけではない。

1970〜80年代、クラブと土地が分かれた

発端は1970年代のスタンド改築と債務だった。資金難が深まる中で、クラブとスタンフォード・ブリッジの自由保有権は別々の所有者へ渡った。土地が不動産開発に使われ、チームが本拠地を失う恐れも生まれた。1990年代初めにクラブ側が敷地を取り戻す道筋をつけ、その後、再び同じ危機を招かない仕組みとしてCPOが所有を引き受けた。

199年の賃貸借が、所有と利用を分けた

CPOは1997年12月17日、クラブからの融資も使って敷地を取得した。そして1997年を起点とする199年間の賃貸借契約で、競技場をクラブへ貸した。法的な所有はCPO、日常の利用はクラブという分担である。名称の使用許諾も、男子トップチームがスタンフォード・ブリッジでホーム戦を行うことと結びつく。移転案が出ても、経営陣だけでは名前と土地を一緒に動かせない。

2011年、61.6%の賛成でも提案は否決された

この仕組みは2011年に実際の判断を迫られた。チェルシーは新本拠地探しを進めるため、CPOが持つ自由保有権を買い戻す提案をした。約700人が出席した株主総会では61.6%が賛成したが、可決に必要な75%へ届かなかった。多数の賛成があっても、重要資産を動かす条件は満たさなかった。現在のCPO公式ページは、世界の約1万3000人へ2万3000株超を販売したとしている。株数と株主数を分けているのも、一人一票ではなく保有株を通じて決める会社だからだ。

参考記事Chelsea FC — Chelsea Pitch Owners: what and whyChelsea FC — Chelsea Pitch Owners historyChelsea FC — Chelsea Pitch OwnersCompanies House — Chelsea Pitch Owners PLCThe Guardian — the 2011 shareholder vote