パン屋の売上と土地の所有を分けた アンフィールド向かいの「ホームベイクド」
リヴァプールFCの本拠地アンフィールド。その向かいに、住民が共同で運営するパン屋「ホームベイクド」がある。運営主体は、地元住民による協同組合とコミュニティ・ランド・トラストだ。再開発で家が取り壊された街で、住民が店と土地の行方に関わるためにつくった。
100年以上のパン屋が、解体予定地に入った
店が入るのは、家族経営のパン屋が100年以上続いた建物だ。周辺では1998年から大規模な再生計画が進み、投資を待つ間に数百戸が解体された。競技場のすぐ外で、試合日のにぎわいと空き家が増える日常が並んだ。建物の保存は、仕事と住まいを一緒に作り直す計画へ広がった。
始まりは、街を考える芸術企画
2010年、国際現代美術祭リヴァプール・ビエンナーレは、オランダ出身の芸術家ジャンヌ・ファン・ヘースウェイクに活動を委嘱した。20人を超す地元の若者が建築家らと「2Up 2Down」に参加し、空いたパン屋と隣接するテラスハウスの使い道を考えた。店、手頃な住まい、集会や活動の場所を一緒に組み直す案が生まれた。
パンを売る組合と、土地を守る組織
2012年、住民らは協同組合のパン屋とコミュニティ・ランド・トラストを立ち上げた。パン屋は商品を作って売り、雇用や研修を生む。ランド・トラストは、地域のために土地や建物を買い、長く保有する組織だ。パン屋が日々の事業を担い、ランド・トラストが土地を将来の住民へ残す。
パン屋の上に、4人の家ができた
ランド・トラストの現行説明では、2012年の活動で建物の解体を止め、改修した。パン屋と隣のコインランドリーの立ち上げを支え、パン屋の上には4人が暮らせる手頃な住まいを整えた。小さな一棟だが、住民が土地を守る組織と、仕事を生む店を別々に持つ仕組みが、ここでは実物になった。
試合日のパイが、平日の店を支える
ホームベイクドの運営主体は、地元住民の協同組合だ。試合日にファンへ売るパイは重要な収入になっている。ケンブリッジ大学の事例紹介によれば、その収入は平日のパン作り、手頃な食事、地元からの材料調達、研修や雇用を支える。大クラブの集客を使いながら、利益と土地を街の側へ残している。
