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選手の更衣室ではなく、男性が話す12週間 ハイバーニアン発「The Changing Room」

サッカーの話ならできても、自分の不安は話しにくい。スコットランドのハイバーニアンで2018年に始まった「The Changing Room」は、その距離を12週間かけて縮める講座だ。競技場でクイズや散歩をしながら、男性が心の健康を話せる関係をつくる。医療や危機対応ではないからこそ、必要な支援へつなぐ備えも組み込んだ。

2018年、イースター・ロードから始まった

ハイバーニアンは、スコットランドの首都エディンバラを本拠地とするクラブだ。2018年、ホームのイースター・ロードでThe Changing Roomが始まった。同年には、同じ街のライバル、ハート・オブ・ミドロシアンにも広がった。運営は心の健康を支える慈善団体SAMHと、プロリーグの地域活動を支えるSPFL Trust。男性の健康活動を助成するMovemberが資金を出した。

散歩もクイズも、話すための入口

講座は12週間で、参加費はかからない。サッカークイズ、競技場見学、ウォーキングフットボール、ピッチ脇の散歩、ゲストの話などを組み合わせる。SAMHが置いた入口は、「悩みを話してください」という面談だけではない。普段なら試合を見に行く場所で、まずサッカーを共有し、その延長で生活のことも言葉にできるようにした。

コーチは治療者ではない。それでも危機に備える

スコットランド政府の事例集は、この講座を危機対応サービスではないと明記する。担当コーチは講座の進行と心の健康について話す方法を学ぶが、治療をする人ではない。参加者が危機的な経験を話した場合には、安全を保ち、専門の支援へつなげられるよう備える。終盤には、今後頼れる人やサービスを整理した自分の「ウェルビーイング・チーム」も作る。

評価が示したのは、参加者の変化

政府資料によると、外部評価では、参加者の心の健康、生活満足度、社会的支援が改善し、仲間同士のつながりも強まった。ただし公開ページには、評価人数や比較対象、改善幅が載っていない。この結果だけで自殺を減らした、医療より有効だった、とは言えない。資料が示すのは、12週間に参加した男性の自己評価と関係性が改善した、という範囲だ。

12週間の後にも、月曜に戻れる場所がある

2021年、回復力やセルフケアをより深く扱う「Extra Time」にスコットランド政府が10万ポンドを拠出した。2024年にも4年目の追加10万ポンドが決まり、ハイバーニアンを含む4クラブの地域部門で実施された。現在、ハイバーニアン地域財団は、Changing Roomの流れを継ぐ男性向け月例会「Hibs SOS」を毎月最終月曜に開く。別に、非臨床の話し合いの場ANDYSMANCLUBも毎週月曜に競技場内で集まる。講座を一度受けて終わりにせず、試合のない夜にも戻れる場所がクラブに残っている。

参考記事Hibernian Community Foundation — Current mental-health supportSAMH — The 12-week Changing Room courseScottish Government — The Changing Room case studyScottish Government — Extra Time funding in 2021SPFL Trust — Extra Time funding in 2024