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ピッチの芝を、耕作放棄地で育てる ガイナーレ鳥取がクラブの技術を街へ出した

ガイナーレ鳥取は2017年、使われなくなった農地で芝を育て、学校や広場へ届ける「Shibafull」を始めた。出発点は、本拠地を管理する職員の経験だった。競技場の内側で使っていた技術が、土地、人手、子どもの遊び場という地域の課題を結び直した。

2017年10月31日、施設管理の経験を地域事業へ変えた

ガイナーレ鳥取は、鳥取県全域をホームタウンとするJリーグクラブだ。運営会社SC鳥取は2017年10月31日、芝生生産事業「Shibafull(しばふる)」を始めた。名称には「芝生で街を満たす」という意味を込めた。土台になったのは、オールガイナーレYAJINスタジアムで職員が重ねてきた芝の生産、管理、施設運営だ。ピッチを守る裏方の知識を、クラブ外へ提供する仕事に変えた。

耕作放棄地を生産地に戻し、芝は学校や広場へ運ぶ

鳥取では、人口減少と農業の担い手不足に伴う耕作放棄地が地域課題になっていた。使われない土地は雑草が増え、景観や周辺住民の生活にも影響する。Shibafullは行政や企業と組み、そうした土地を芝畑として使う。育てた芝は保育園、学校、広場などへ移す。土地の再利用と遊び場づくりを、同じ一枚の芝でつないだ。

4500平方メートルから2万7500平方メートルへ広がった

クラブが2023年に公表した調査では、耕作面積は2018年の4500平方メートルから、2019年には2万7500平方メートルへ増えた。出荷・芝生化した面積も1220平方メートルから4820平方メートルへ広がった。前者は再び生産に使った土地、後者は実際に別の場所へ敷いた芝の広さだ。売上高の伸びを示す数字ではなく、2018〜19年の二年間に土地利用と供給先が動いた規模を表している。

1.31は、企業利益率と別の数字だ

同じ調査は、2018〜19年の活動のSROIを1.31と算出した。SROIは社会的投資収益率の略で、投入した資源に対し、売上や広告効果だけでなく、人の交流、耕作放棄地の活用、二酸化炭素の固定などを貨幣換算して比べる手法だ。関係9団体への聞き取りも使われた。企業の利益率や現在の成績ではなく、対象期間の社会的価値を一つの基準で表した数字である。

ロボット芝刈り機には、先に『検証』という仕事があった

芝は出荷まで刈り続け、敷いた後も管理する必要がある。Hondaは2018年に参画し、ロボット芝刈り機Miimoをスタジアムや公共施設へ導入した。発表されたのは、省人化と低コスト化を測る実証実験だった。削減額の確定値までは示していない。クラブは芝の技術だけを売ったのではなく、企業の機械を地域の土地で試し、その結果を次の管理方法へつなぐ場も用意した。

参考記事Gainare Tottori — Shibafull's purpose and use of abandoned farmlandGainare Tottori — 2018–19 areas, stakeholders and SROI resultGainare Tottori — Honda's Miimo trial and the 2017 launch dateJ.League — the 2020 Sharen Media Award for Shibafull