スポンサー料の10%は、どこへ行く? エンジェル・シティが契約に組み込んだ地域予算
エンジェル・シティFCは、米国ロサンゼルスを本拠とする女子プロクラブだ。各スポンサー契約の一部を地域活動へ回す「10%モデル」を、営業の仕組みに組み込んでいる。2026年9月3日に発表した通信会社Spectrumとの契約にも、広告枠と子ども向け教室が一緒に入った。10%という数字は、地域でどんな仕事に変わるのか。
スポンサーごとに、支える課題を決める
10%の基準は個々のスポンサー契約だ。クラブ全体の売上や利益とは分けて考える。クラブ公式の説明によると、スポンサーは食料、移動手段、競技機会、教育などから支援分野を選ぶ。エンジェル・シティの地域担当者が、その課題に取り組む団体を探す。
地域部門の資金集めを毎回ゼロから始めず、営業契約の段階で財源と用途を結ぶ。担当者は寄付の獲得より、現場の団体との関係づくりに時間を使えると説明している。
Spectrum契約には、広告と年2回の教室が並んだ
2026年9月3日、クラブはSpectrumとの複数年契約を発表した。Spectrumにとって女子サッカークラブとの最初のスポンサー契約になる。
契約には、スタジアムのLED表示、試合中の映像企画、メールや配信ページでの露出がある。同時に、毎年2回の子ども向けサッカー教室も入った。最初の教室は8月1日、ロサンゼルス郊外ムーアパークで実施。次はウエスト・バレー・ファミリーYMCAで行う予定とされた。
広告と地域活動が、同じ契約書から動き出す。10%モデルの特徴が具体的に見える例だ。
8万食の目標が、担当職員の配置で31万9000食へ
食料支援では、地域団体All Peoples Community Centerと組んだ。団体側が必要としていたのは、食品そのものに加えて、複数の事業をまとめて担当する職員だった。エンジェル・シティは、その人件費も支援した。
クラブが2023年1月に紹介した時点で、4月から12月までの目標は8万食。実績は31万9000食に達したという。数字の差を生んだ理由として、専任職員が配布の把握と運営を担えたことを挙げている。スポンサー資金が、食事と同時に現場の仕事を支えた。
2024年のImpact Fundは、もう一つの資金経路
2024年には、非営利部門Angel City Impactが新しい基金を始めた。ロサンゼルス・タイムズによると、市内100か所超で5〜17歳の約1万4000人へ、低料金または無料のサッカー機会を広げる計画だった。初期予算は年130万ドルを3年間。資金はファンや地域から募ると説明された。
スポンサー契約の10%と、非営利部門が集める寄付は別の入口を持つ。前者は企業との取引に地域予算を置き、後者は市民が参加できる基金をつくる。エンジェル・シティは、地域活動を一つの寄付先にまとめず、営業と寄付の両方から支える仕組みを重ねた。
