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小学6年生の机へ、選手と先生が問題を届ける 川崎フロンターレ算数ドリルの17年

川崎フロンターレは、川崎市を本拠とするJリーグクラブだ。2026年度、市内の公立小学校115校と特別支援学校3校へ「フロンターレ算数ドリル」を配った。選手の写真を載せた記念品ではなく、6年生が授業で使う問題集だ。作るのはクラブ、小学校の先生、教材の専門家、デザイナー。17年かけて、クラブは試合より先に教室で子どもと会うようになった。

2009年は1校、翌年に市内全校へ

最初の配布は2009年。川崎市中原区の上丸子小学校に通う6年生が対象だった。2010年には市内の公立小学校全校へ広がる。2011年からは、川崎市が教育的な価値を認め、制作費を補助した。

2026年度の上巻は、市内115校の公立小学校と3校の特別支援学校へ届いた。1校の試みが翌年に全市へ広がり、その次の年から行政の支援が入った。段階を踏んで学校教材になった。

クラブが上巻、市が下巻を作る

川崎市の説明では、上巻をフロンターレ、下巻を市が作る。上巻は9月末まで使い、10月に下巻が配られる。

2026年度版の作成委員会には、クラブのスタッフに加え、算数を専門とする小学校教員、教材作成の専門家、デザイナーが入った。選手やボールを出すだけなら、学校で使う教材にはならない。学ぶ内容を教科に合わせる人と、クラブらしい入口を作る人が同じ机を囲む。

45秒のリフティングを、平均の問題へ

ドリルを配るだけでなく、選手が学校へ行く「実践学習」もある。2026年3月、宮崎台小学校では6年生138人と伊藤達哉、野田裕人が授業に参加した。

児童10人が1分間に行ったリフティングは、平均100.2回だった。選手は45秒に条件を変え、伊藤が96回、野田が126回を記録した。時間が違う数字を、そのまま大小で比べてよいのか。教室に生まれた疑問が、平均や換算を学ぶ問題になる。サッカーは挿絵ではなく、計算する材料になった。

ベトナム語版も、日本の授業に合わせた

JICA横浜は2024年、ドリルのベトナム語版を公開した。JICAは国際協力機構の略称で、日本の国際協力を担う機関だ。この版は、ベトナムの教科書の翻訳版ではなく、日本の学習指導要領に沿った問題をベトナム語にした。日本で学ぶベトナムにルーツのある子どもを主な対象とする。

明治安田生命の取材で、クラブ担当者は、2009年のカップ戦表彰式で起きたメダル問題を地域へ返す活動の出発点に挙げた。返却を申し出た賞金が受け取られず、その資金をドリル制作に使ったという。問題集は、失った信頼を言葉だけで取り戻すのではなく、毎年の仕事に変える試みとして始まった。

参考記事Kawasaki Frontale — 2026 workbook distribution and production committeeKawasaki City — division between the two annual volumesKawasaki Frontale — March 2026 practical lessonJICA Yokohama — Vietnamese-language editionMeiji Yasuda — interview on the workbook's origin