最高齢107歳、1300通のエール 介護施設の人がJクラブを「支える側」になる日
高齢者施設で暮らす人が、地元のJクラブを応援する。Be supporters!は、その関係を「元気にしてもらう催し」だけで終わらせない。普段は支えられる場面の多い人が、選手やクラブへ声を届ける。サポーターという役割を、施設の日常に持ち込んでいる。
応援を受ける人から、送る人へ
Be supporters!は、サントリーウエルネスとJリーグのクラブが2020年12月に始めた。最初はカターレ富山など4クラブとの取り組みだった。
参加者は応援グッズを作り、試合へ向けて準備し、観戦する。施設は応援するクラブを自由に選べる。始める際にサントリーウエルネスやJクラブへ支払う費用もない。活動の中心にあるのは、支援を受ける人としてではなく、誰かへ声を送る人として参加することだ。
1300は参加者数ではなく、届いたエールの数
数字は、活動の広がりと数え方を分けて読む必要がある。カターレ富山では2021年、県内30施設で延べ1000人が参加し、最高齢は98歳だった。
Jリーグが2022年に発表した全国企画では、10クラブの地域にある約70施設から1300通のエールが集まった。最高齢は107歳。ここで数えたのはメッセージだ。2025年の企画は、20クラブへ5136人が参加し、総年齢は37万歳と発表された。参加者数とエール数は別の指標なので、単純な増減比較はできない。
施設のレクリエーションと、どこが違うのか
試合日だけの催しではない。誰を応援するか話し、グッズを作り、次の試合を待つ。施設職員からは、サッカーという共通の話題ができて会話の量や頻度が増えた、利用者の違う一面が見えたという声が公式サイトに載っている。
クラブ側にも変化がある。2022年の企画では、施設から届いた言葉がホームゲームの横断幕になった。応援する人とされる人が、施設の中だけで完結せず、地域のクラブを介してつながる。
「元気になった」まで、どこまで言える?
2026年8月に公表された事例報告には、サントリーウエルネス、大阪公立大学、理化学研究所、京都大学の研究者が参加した。調査は2施設の14人を5カ月追った事例研究で、回答者が少ないため統計値は参考として扱われた。報告は、精神面や社会的なつながりへ働きかける補完的な取り組みになる可能性を示す。
個人の心理変化や施設内外の関係形成への影響は、まだ十分に明らかになっていないとも記す。応援で介護度が改善すると一般化できる段階ではない。それでも、支えられる人とだけ見られがちな人へ「誰かを支える役割」を渡した点は、この活動の具体的な違いとして残る。
