欧州スーパーリーグへの抗議後、16人を置く契約へ リヴァプールの「ファン同意」は二つだけ
2021年の欧州スーパーリーグ構想は、リヴァプールとサポーターの関係も揺らした。クラブは翌年、16人のSupporters Boardを契約と会社定款に組み込んだ。ただし、ファンが何でも拒否できる制度ではない。同意投票が必要な事項は、本拠地と離脱型大会の二つに絞られている。
発表後ではなく、発表前に聞いてほしかった
欧州スーパーリーグは、欧州の有力クラブが新しい離脱型大会を作ろうとした2021年の構想だ。リヴァプールも参加を表明したが、ファンやサッカー界の反発を受けて撤回した。
英政府は同年4月に「ファン主導レビュー」を始めた。政府の回答書は、スーパーリーグ構想と新型コロナ禍を制度見直しの引き金に挙げている。クラブと、公式サポーターズ・トラストであるSpirit of Shanklyも協議を重ね、新しい代表機関を作ることで合意した。
16人のうち10人を、サポーター組合が送る
Supporters Boardは16人で構成される。10人はSpirit of Shanklyから選ばれ、残る6人は障害のあるファン、LGBTQ+のファン、女子チームのサポーター、海外の公式サポータークラブなどを代表する団体から出る。任期は2年だ。
2022年8月17日、クラブと組合は設置契約を結んだ。ファンとの戦略的な協議を継続する約束は、会社定款にも位置づけられた。Boardは年4回、経営陣や幹部と会い、議長と副議長は年1回、クラブ取締役会と会う。
話を聞く約束は、拒否権ではない
クラブ章やホームシャツの色、チケットや会員制度、アンフィールド以外で行う男子リーグのホーム戦、サポーターへ大きく影響するスタジアム計画などは、決定前の協議対象だ。会議後には要約を公開し、シーズン後には年次報告を出す。
ただし、協議は同意ではない。2023年のチケット値上げでは、Supporters Boardは全員で反対した。Spirit of Shanklyは、クラブには意見を検討する義務がある一方、価格はファン同意の対象ではなく、最終判断はクラブにあると説明した。
同意が必要なのは、本拠地と離脱型大会
現在のクラブ案内で、ファン投票による同意が必要なのは二つある。一つは、男子トップチームの本拠地をアンフィールドから恒久的に移すこと、またはアンフィールドを別クラブと恒久的に共用すること。アンフィールドは1892年から使うリヴァプールの本拠地だ。
もう一つは、男子または女子トップチームを、既存の国内リーグや欧州大会に代わる離脱型大会へ恒久的に参加させること。プレミアリーグやUEFAチャンピオンズリーグの制度変更は、この定義から除かれている。
取締役会の席ではなく、二つの決定に線を引く
議長と副議長が取締役会と年1回会っても、Supporters Boardのメンバーがクラブ取締役になるわけではない。チケット値上げの例が示すように、協議対象の最終決定権はクラブ側に残る。
制度の強さは、あらゆる経営判断を止めることではない。クラブの本拠地を手放すことと、既存大会から恒久的に離れること。この二つを、経営側だけでは決められない事項として契約と定款に置いた点にある。なお、公開案内は投票を行うと定めているが、有権者をどの範囲のファンとするかまでは示していない。
