約200トンを取り除き、6週間で23ミリへ パレスが芝を夏に作り直す方法
ブルース・エリオットの2026年の夏は、芝を伸ばす前に約200トンを取り除く作業から始まった。クリスタル・パレスでグラウンドと施設を統括するエリオットは、6月10日、本拠地セルハースト・パークのピッチ更新に入った。新しい砂120トンへ種をまき、約2000万本の人工繊維を縫い込む。当時の予定は完成まで6週間。8月の2026-27シーズン開幕に合わせ、試合時の23ミリへ育て直す工程だった。
砂120トンへ種をまき、2000万本を縫う
大型機械でピッチの表面を取り除く作業は3〜4日。出る土は約200トンに達する。その後、新しい砂120トンを入れて種をまく。専用の機械がポリエチレン繊維を2センチ間隔で、根の届く深さ18センチまで打ち込む。
繊維の総数は約2000万本で、完成したピッチを構成する材料の4%に当たる。発芽した天然芝の根が繊維へ絡み、表面を支える網目をつくる。これがセルハースト・パークのハイブリッドピッチだ。The Timesが伝えた更新費用は3万ポンド。開始から完了まで6週間を見込んでいた。
30センチ下の16マイルと、表面の23ミリ
芝の下には、雨を逃がす排水設備がある。The Timesは、その能力を毎時数十万リットル規模と報じた。さらに地表から約30センチの深さを、16マイル、約26キロの管が通る。ボイラーで温めた水を循環させる地中暖房だ。2025-26シーズンのプレミアリーグ規則は、各クラブに地中暖房の設置と維持を求めていた。合理的に可能な範囲で、ホームのリーグ戦に使える状態を保つためだ。
表面では、エリオットが率いる13人のチームが芝刈り、清掃、施肥、通気、散水、補光を組み合わせる。担当するのはセルハースト・パーク、トップチームの練習場、アカデミーのピッチ。試合時の芝は23ミリにそろえ、取材時のプレミアリーグ規則で認められた上限30ミリに収める。
試合前とハーフタイムに散水する場合は、ピッチ全体へ均等に水をまく。ホームクラブが場所ごとに長さや水分を変え、相手へ不利な面を用意することを防ぐためだ。リーグが指定するのは30ミリの上限と全面を同じ高さに保つこと。23ミリはパレスがその範囲で選んだ高さになる。
日陰へ、440平方メートルの光を動かす
試合の間には、4台のナトリウム式育成照明をピッチへ運ぶ。1台の照射範囲は440平方メートル。昼夜を通して置き場所を変え、スタンドの影に入りやすい場所の光合成を補う。
セルハースト・パークはプレミアリーグの競技場では小さい部類に入り、自然光が届きやすい。エリオットによると、大きな競技場で12台を使う例もあるが、パレスは4台で対応してきた。週に3試合が入れば、傷んだ芝を戻す日数はさらに短くなる。4台をどこへ置くかは、残された時間と傷み方で決まる。
4人の清掃を2人で終え、残り2人を別の作業へ
人の配置を変えた例が、試合や練習後の清掃だ。芝刈り機メーカーDennisは2021年、パレスが大型ロータリーモアPRO 34Rを6台購入した事例を掲載した。当時の内訳はトップチーム練習場に4台、セルハースト・パークに2台だった。
エリオットの説明では、小型機で1面を清掃すると4人で1時間かかった。PRO 34Rなら2人で同じ1時間に収まる。残る2人は薬剤散布や、芝を縦に切って古い葉を取り除くバーチカットへ進める。この台数は2021年時点の記録で、2026年の保有数は公表資料から確認できない。
13人の担当範囲には、スタジアム、トップチーム練習場、アカデミーが入る。セルハースト・パークを23ミリへ戻す仕事は6週間の更新工事から始まり、試合後の1時間を何に使うかまで続いている。
