赤青の試合日から、紫の車で六つの街へ リヴァプールとエヴァートンの食料支援
リヴァプールには、赤いリヴァプールFCと青いエヴァートンFCをまたぐ食料支援がある。始めたのはクラブではなく、両クラブのサポーターだった。2015年の小さな回収活動は、本拠地での共同受付、紫色の車、六つの地域パントリーへ広がった。数字を追うと、寄付を集める運動から、食料を受け取りやすい場所を街に置く仕組みへ変わったことが分かる。
始めたのはクラブではなく、三人のサポーターだった
Fans Supporting Foodbanksは2015年10月に発足した。中心になったのは、リヴァプールのサポーター組合Spirit of Shanklyと、エヴァートン側のBlue Unionに関わるイアン・バーン、デイヴ・ケリーらだ。最初は三人のサポーターが車輪付きのごみ箱を使い、試合日に食料を集めた。
ライバル関係を消したわけではない。応援する色を保ったまま、同じ街の困窮という課題だけを共同で扱った。名称もクラブの共同事業ではなく、ファンが支えるフードバンクという出発点を残している。
2016年、アンフィールドとグディソン・パークへ入った
2016年4月19日、リヴァプールFCはアンフィールドでの試験回収を発表した。エヴァートンの本拠地グディソン・パークでも実施し、最初の共同受付は両クラブが対戦するマージーサイド・ダービーに合わせた。
集まった寄付は、北リヴァプールの二つのフードバンクへ分けられた。ファンが始めた活動をクラブが本拠地へ受け入れたのであって、クラブが最初から制度を作った順番ではない。
赤と青を混ぜた紫の車が、試合のない日も動いた
活動の象徴になったのが紫色のバンだ。赤と青を混ぜた色で、どちらか一方のクラブ車両に見せない。2020年まで、試合日の回収に使われた。新型コロナ禍で観客が入れなくなると、活動は車を使った移動式の配布へ切り替わった。
現在はパントリーと呼ばれる地域の小規模な食料拠点を六つ運営する。緊急用の食料箱を一度渡すだけでなく、利用者が生活圏の中で継続して食料を選び、受け取れる形へ広がった。
25%と176人は、同じ種類の数字ではない
リヴァプール・ヘルス・パートナーズは2024年、北リヴァプールのフードバンクへ届く食料寄付の25%を活動が担うと紹介した。この25%は市全体の食料支援でも、必要量を満たした割合でもない。対象は北部のフードバンクへの食料寄付だ。集計期間と独立監査の有無は公開資料で確認できない。
同じ調査は2021年4月から2023年9月までに176人へ聞き取りをした。176人は全利用者数ではなく、調査へ答えた人数である。研究側は食料だけでなく、孤立を減らす交流の場としての役割も報告した。
2025年の規模は、支援を受ける人の推計だ
リヴァプールFCは2025年、六つのパントリーが約2500人を支え、そのうち約800人が子どもだと伝えた。これは一回の試合で集まった寄付数でも、2015年からの累計でもない。活動側が示した現在の利用規模である。
クラブ別の寄付内訳は示されていない。赤と青のどちらが多く集めたかを競う数字ではなく、ファン発の仕組みが試合日を越えて残ったことを示す数字として読む方が実態に近い。
