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19ユーロで置かれた2万人の「分身」 グラートバッハの無観客席をファンが埋めた方法

2020年春、ドイツのブンデスリーガは新型コロナ禍で無観客再開へ向かった。メンヒェングラートバッハの本拠地ボルシア・パルクでは、空席に等身大の段ボール製パネルが並んだ。クラブの広告企画ではない。ファン団体が始め、1体19ユーロの代金は制作だけでなく雇用と支援にも回った。

隔離中のファンが発案した

企画名は「Sei dabei. Trotzdem!」。日本語なら「それでも、そこにいよう」に近い。発案したのはファンのインゴ・ミュラーで、ファン団体FPMGが運営した。注文者は自分の写真を送り、地元の印刷会社が等身大のパネルにする。ホーム側だけでなく、対戦クラブのサポーターも申し込めた。

19ユーロのうち、4.50ユーロには行き先があった

1体の価格は19ユーロ。クラブの説明では、このうち2.50ユーロがFPMGの事務・前払い負担に充てられ、団体で働く7人の雇用維持を支えた。さらに2ユーロが、困っているボルシアの仲間を助ける「Borussen helfen Borussen」へ回った。客席を飾る代金の一部が、スタジアムの外の生活へつながっていた。

5000体から、2万人超へ増えた

設置数は一度に2万体へ達したわけではない。4月下旬に約5000体、5月上旬に8000体超へ増えた。5月23日のレヴァークーゼン戦では1万2993体が置かれ、シーズン最後のホームゲームまでに注文・設置の規模は2万人を超えた。数字の増加は、無観客期間が長引くなかで参加者が広がった順番を示している。

分身を置いても、声までは作らなかった

クラブはスタジアムに人工の歓声を流さなかった。広報担当者は、ファンがいなくても代用品で足りるという印象を与えたくない趣旨を説明している。段ボールの人形は本物の観客の代替ではなく、そこに来られない人の存在を示すものだった。FPMGが発案し、地元の印刷会社が作り、雇用と相互扶助にもお金を回す。その流れまで含めて、客席の「分身」はクラブと街の日常を映した。

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