63

音を弱め、客席へ少しずつ サンダーランドが感覚過敏の観戦に用意する6枠

大歓声は、誰にとっても同じように楽しいわけではない。イングランド北東部のクラブ、サンダーランドは2015年、本拠地スタジアム・オブ・ライトに感覚過敏のある人向けの観戦室を開いた。現在の予約案内はホーム1試合につき利用者6枠。音を完全に消さず、刺激を弱めた場所から屋外席へ少しずつ移れるようにする。

試合を途中で出た家族が、クラブへ手紙を書いた

自閉症のあるネイサン・シッピーは、観客の音や混雑で試合中に退席することがあった。家族は2014-15シーズン、バーの開放空間へ出入りする方法も試したが十分ではなかった。そこで、同じ困難を抱える家族が使える場所をクラブへ提案した。クラブ、家族、ネイサンの学校などが相談し、2015年にネイサン・シッピー・センソリールームが開いた。

音を消さず、歓声の「角」を取る

室内には防音、柔らかい家具、感覚を整える活動が用意される。FIFAの取材で父ピーターは、無音にするのではなく刺激を和らげ、望めば歓声も感じられる場所だと説明した。クラブの現行案内も、室内だけで観戦を終えるのではなく、屋外席へ移る自信をつける穏やかな移行の場とする。観戦できるか、できないかの二択にしない。

6枠は席数ではなく、現在の予約案内の単位

需要が多いため、現在の案内はホーム1試合につき利用者6枠とし、利用者1人に付き添い1人を求める。希望者は障害者アクセス担当へ申し込み、空きを確認する。試合のない落ち着いた日に、入場経路、座席、着替え設備、バリアフリートイレを先に見る見学もできる。6は部屋の総定員ではなく、クラブが現在1試合ごとに受け付ける利用者枠だ。

2015年の一室が、2016年の20クラブ向け基金へ

サンダーランドは2018年に2室目を開いた。プレミアリーグと放送事業者BTは、その前の2016-17シーズン、全20クラブを対象に感覚過敏向け設備の基金を用意した。開設年には表記の揺れがある。FIFA記事の要約は2014年だが、同じ記事の本文とクラブの現行案内は2015年とする。2014-15シーズンのバーでの試行を経て、専用室は2015年に開いたと整理できる。

参考記事Sunderland AFC — Nathan Shippey Sensory RoomFIFA — Sunderland's sensory-room storyNorth East Autism Society — second sensory roomThe Shippey Campaign — the family's campaignPremier League — funding for sensory facilities